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就業規則

就業規則のネタ 【第45回】 -身元保証-

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        就業規則のネタ
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  ◎ 第45回    身元保証        2008年8月1日

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こんにちは。社会保険労務士の長谷川です。

今年、“労働契約法”という新しい法律が施行され、会社と従業員との
争いが発生した場合、

  就業規則がなければ会社は非常に不利

なのは当然として、争いの解決のために、

  就業規則の中身がどうか?

について問われることが、よりはっきりしました。

したがって、会社にとって、就業規則が本当に重要なものになります。

そこで当メールマガジンでは、会社で発生する様々な問題に対し、就業
規則でどのように備えればいいのか、その方法をお届けしていきます。

  「就業規則のせいでかえってひどい目にあった!」

  「うちの会社の就業規則は大丈夫だろうか?」

という経営者の方、また総務担当の方、是非お読みください。

——————————————————————-

前回は、

  “損害賠償” 

ということで、

  ・ 損害賠償を規定する際の法律上の規制
  ・ 実際に損害賠償を請求する際の注意点
  
を中心にお伝えいたしました。

今回は、

  “身元保証”

についてお伝えしていきます。

※―――――――――――――――――――――――――――――――※

  今回のテーマ   ■ 身元保証 ■

※―――――――――――――――――――――――――――――――※

 従業員を採用する際に、身元保証人を立て、身元保証契約を締結する

このような身元保証は、行っている会社もありますし、行っていない会社
もあるでしょう。

身元保証は法律で義務付けられたものではありませんので、身元保証人を
立てずに従業員を雇用しても特に問題ありません。

しかし最近は、金銭の横領などのほか、情報の漏洩により思わぬ損害を被
る場合もあり、身元保証人を立てることの重要性は高くなっていると思わ
れます。

身元保証契約は、

  会社と身元保証人との間で、
    ↓
  雇用する従業員の犯した行為などによって会社が損害を被った場合に
    ↓
  その損害を賠償することを約するもの

をいいます。

このような契約を結んでいれば、

  従業員が会社に損害を与えた場合

に、

  身元保証人に損害賠償を請求する

ことができます。

従業員から見れば、身元保証人に多大な迷惑をかける可能性があるわけで
すから、従業員が会社に損害を与える行為を抑止できるという効果もある
でしょう。

——————————————————————-

身元保証契約については、身元保証ニ関スル法律 によって、身元保証契
約の期間は、

  期間を定めていない場合には3年

  期間を定めた場合でも最長5年

とされています。

そして、身元保証契約では、契約の自動更新は無効です。

そのため、身元保証契約を継続するには、面倒でも期間満了時までに再度
契約を締結しなければなりません。

また、会社は、

  ・ 従業員が、身元保証人が責任を問われるような業務上不適切な
    行為をしていることが分かったとき

  ・ 担当業務の変更などにより身元保証人の責任範囲が増大したとき

  ・ 転勤などにより身元保証人が従業員を監督することが難しくなる
    ようなとき

には、身元保証人に対して通知を行う必要があります。

身元保証契約の更新や必要な通知を行わなかった場合には、

  身元保証人に対し損害賠償を請求することができない

ことにもなりかねませんので、注意が必要です。

さらに、実際に身元保証人に損害賠償を請求し、また損害賠償額を決定す
るにあたっては、

  ・ 従業員の監督に関する会社側の過失の有無

  ・ 身元保証人が身元保証をするにいたった経緯

  ・ 身元保証人をするのに用いた注意の程度

  ・ 従業員の任務

  ・ 従業員の身上の変化

  ・ その他一切の事情

を考慮することとなっています。

したがって、横領など従業員の犯罪行為による場合はともかく、過失によ
る損害については、損害賠償が制限されることが多くなるものと考えられ
ます。

それでも、

  身元保証人にも損害賠償が請求される可能性があり

  懲戒処分がなされた場合には身元保証人にも通知される

ということであれば、従業員に対する不正の抑止力としての効果が期待で
きるものと考えます。

——————————————————————-

以下、一般的な条文を例示します。

(身元保証人)
第○○条 
身元保証人は1名とし、経済的に独立した成年者で会社が適当と認めた者と
する。
2. 身元保証の期間は5年とし、会社が特に必要と認めた場合、その身元
  保証期間の更新を求めることがある。
3. 身元保証人が次のいずれかに該当するに至った場合には、直ちにこれ
  を変更し、新たに届け出なければならない。
 (1)死亡または失踪宣告を受けた場合
 (2)破産の宣告を受けた場合
 (3)その他会社において身元保証人を不適当と認めた場合

——————————————————————-

身元保証契約の期間が最長でも5年であり、契約を更新するときは必ず契約
を締結しなおさなければならない、ということはすでにお伝えしたとおり
です。

しかし、

  新卒で採用したときに身元保証人を立てたとしても、
    30歳、40歳、50歳、60歳
  と年を重ねても同じように身元保証人が必要なのか?

あるいは、

  中途採用のときにはどうするか?

ということについては、特に検討していない会社が多いと思います。

さらに、

  身元保証人になる人がいない(身元保証書が提出されない)
  場合にどうするか?

ということも実際にあるパターンですので、このような場合にどう対応す
るかについても、あらかじめ検討しておく必要があるものと考えます。

             ―― 第45回 身元保証  おわり ――

◇―――――――――――――――――――――――――――――――◇

     おわりに   ◆どうでもいい話◆

◇―――――――――――――――――――――――――――――――◇

今週は、イチローが日米通算3,000本安打を打ったというニュースもあり
ましたが、私の中では内藤大助の世界戦でした。

 ポイント的に敗色濃厚な選手が一発のパンチですべてをひっくり返す

というボクシングの一番の醍醐味を、軽量級の世界戦で見られたので、
かなりスカッとしました。

まあ、その後の亀田兄は余計でしたが。

—–+——-+——-+——-+——-+——-+——-+——-+—–

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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がございましたら、ご遠慮なくお尋ねください。

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就業規則のネタ 【第44回】 -損害賠償-

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        就業規則のネタ
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  ◎ 第44回    損害賠償        2008年7月25日

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こんにちは。社会保険労務士の長谷川です。

今年、“労働契約法”という新しい法律が施行され、会社と従業員との
争いが発生した場合、

  就業規則がなければ会社は非常に不利

なのは当然として、争いの解決のために、

  就業規則の中身がどうか?

について問われることが、よりはっきりしました。

したがって、会社にとって、就業規則が本当に重要なものになります。

そこで当メールマガジンでは、会社で発生する様々な問題に対し、就業
規則でどのように備えればいいのか、その方法をお届けしていきます。

  「就業規則のせいでかえってひどい目にあった!」

  「うちの会社の就業規則は大丈夫だろうか?」

という経営者の方、また総務担当の方、是非お読みください。

——————————————————————-

前回は、

  “懲戒の手続き” 

ということで、

  懲戒処分を公正に行うために、弁明の機会を設けるなど、
  必要な手続を踏む必要がある
  
ということを中心にお伝えいたしました。

今回は、

  “損害賠償”

についてお伝えしていきます。

※―――――――――――――――――――――――――――――――※

  今回のテーマ   ■ 損害賠償 ■

※―――――――――――――――――――――――――――――――※

会社が従業員に対して損害賠償を請求する というと、

例えば、

  ・ 会社のお金を横領した
  ・ 商品の運搬中に、不注意により盗難に遭った
  ・ 顧客情報を無断で会社から持ち出し、売却した

などといった場合に、

  懲戒処分とは別に、会社が被った損害を賠償するよう請求する

というのが一般的に考えられるパターンではないかと思います。

——————–

従業員の故意又は過失により会社が損害を被った場合、その損害を賠償
するよう求めること自体は禁止されていません。

ただし、労働基準法に損害賠償についての規定があります。

労働基準法第16条(賠償予定の禁止)

使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、または損害賠償額を
予定する契約をしてはならない

この条文は、

  労働者が不当に精神的自由を拘束され、労働を強制されることが
  ないように

ということで設けられたものです。

ただ、この条文は、

  あらかじめ損害賠償の金額を決めておくことを禁止する

ものであって、

  現実に起こった損害について損害賠償を請求することを禁止
  したものではない

ので、繰り返しになりますが、

  実際に従業員が会社に損害を与えた場合には、会社はその
  従業員に損害賠償を請求できる

ことになります。

——————–

しかしそうはいっても、従業員の故意であればともかく、

  仕事中に従業員の過失で起こした事故

については、

  会社が従業員に仕事をさせている以上、会社も一定の責任を負う
  
ことになりますので、

  よほどのことでなければ損害の全部を従業員に賠償させるのは
  無理があり

ますし、

  軽い過失であれば、従業員に損害賠償させること自体に無理がある

ものとされています。

現実的には、

  ・ 故意によるもの
  ・ 重過失によるもの
  ・ 明らかな社内規則違反
  ・ 背信的な行為

については、会社は従業員に損害賠償請求できるものとされています。

また、故意や悪意のある行為の場合には、損害の全額を請求することもで
きるでしょうが、過失の場合には、

  ・ 会社の管理上の手落ち
  ・ 教育指導の不徹底
  ・ 業務の性質

などといったものを考慮することとなるので、全額を賠償させるのはとて
も無理な場合がほとんどです。

——————————————————————-

以下、一般的な条文を例示します。

(損害賠償)
第○○条
従業員が故意または重大な過失により会社に損害を与えたときは、会社は
その従業員にその全部または一部につき損害賠償を求める場合がある。
ただし、これによって第**条の懲戒を免れるものではない。

——————————————————————-

現実では、従業員の不注意で多少の損害が出るのは割とよくあることだと
思います。

しかし、実際にこのような条文が就業規則に盛り込まれていても、ほとん
どの会社では、よほどのことがなければ実際に損害賠償を求めることはあ
りません。

会社が従業員に対して、安易に損害賠償を請求するということは、従業員
を相当程度萎縮させる要因となりますし、

また、一定程度の従業員のミスは当然起こりうるものとして、別の方法で
リスクを回避しているはずだからです。

そして、会社として負うことができないリスクが現実となったときには、
従業員に対して損害賠償を求めることになります。

いずれにしても、

  損害賠償の規定を就業規則に設ける

ことは必要ですが、訓示的な規定だと割り切り、

  実際にはよほどのことがなければ損害賠償の規定は適用しない

ことになるでしょう。

             ―― 第44回 損害賠償  おわり ――

◇―――――――――――――――――――――――――――――――◇

     おわりに   ◆どうでもいい話◆

◇―――――――――――――――――――――――――――――――◇

最近では、イチローの日米通算3,000本安打までもうすぐ、とか、イチロ
ーと松坂が直接対戦して…、など、いろんな記事をネットで見かけます。

イチローの記事を見かけるたびに思うのが、

  同い年なのに全然違うなあ

ということです。

今さら比較しても別に意味ないのですが、もっと頑張らなきゃなあ とは
思います。

—–+——-+——-+——-+——-+——-+——-+——-+—–

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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就業規則のネタ 【第43回】 -懲戒の手続き-

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        就業規則のネタ
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  ◎ 第43回    懲戒の手続き        2008年7月18日

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こんにちは。社会保険労務士の長谷川です。

今年、“労働契約法”という新しい法律が施行され、会社と従業員との
争いが発生した場合、

  就業規則がなければ会社は非常に不利

なのは当然として、争いの解決のために、

  就業規則の中身がどうか?

について問われることが、よりはっきりしました。

したがって、会社にとって、就業規則が本当に重要なものになります。

そこで当メールマガジンでは、会社で発生する様々な問題に対し、就業
規則でどのように備えればいいのか、その方法をお届けしていきます。

  「就業規則のせいでかえってひどい目にあった!」

  「うちの会社の就業規則は大丈夫だろうか?」

という経営者の方、また総務担当の方、是非お読みください。

——————————————————————-

前回は、

  “懲戒解雇事由” 

ということで、

  懲戒解雇事由の規定は必要不可欠ではあるけれども、
  実際の運用は慎重に行う必要があること

を中心にお伝えいたしました。

今回は、

  “懲戒の手続き”

についてお伝えしていきます。

※―――――――――――――――――――――――――――――――※

  今回のテーマ   ■ 懲戒の手続き ■

※―――――――――――――――――――――――――――――――※

以前にもお伝えしていますが、懲戒処分というのは、

  事業を円滑に運営していくために必要な企業秩序を維持するため
    ↓
  その企業秩序の違反に対し
    ↓
  使用者が労働者に対して課すことのできる一種の制裁罰である

ということで行われます。

つまり、会社は、

  会社内の秩序を維持するために必要な規律を定め
    ↓
  従業員に対し、その必要な規律を守るよう指示することができ
    ↓
  その規律を守らない従業員に対し
    ↓
  制裁として懲戒処分を行うことができる

ということになります。

——————–

このように、懲戒処分は、

  「企業秩序を維持するため」

に行うものであるので、当然のことながら公正に行う必要があります。

 「あいつは気に入らないから厳しく罰してやろう」

とか、逆に

 「あいつは言うことをよく聞くから穏便に済ましてやろう」

ということはあってはならないわけです。

会社としては、懲戒処分が公正に行われなかった といわれることのない
よう、適切な手続を踏んだ上で懲戒処分を行う必要があります。

ただ、そうは言っても、どのような手続を踏むかについては法律に明記さ
れているわけではありません。

しかし、実際に懲戒処分を行おうとする時には、

  資料または証拠となる書類の収集
  本人や関係者からの事情聴取

などを行ったうえで、どんな処分にするのかを判断するのが通常です。

特に、過去の裁判の結果などから、

  懲戒の対象となる従業員の弁明を聞く機会を設ける

という手続きは絶対に必要となります。

本人が弁明を頑なに拒否したということであれば別ですが、本人の言い分
も聞かずに、問答無用で懲戒処分を行うことは避けるべきです。

——————————————————————-

以下、一般的な条文を例示します。

なお、この条文については、必ずしも就業規則で定めなければならない
事項ではありませんが、懲戒処分を行う際には最低でもこのような手順を
踏む必要があるということで、今回ご紹介いたします。

(懲戒の手続き)
第○○条
会社が従業員を懲戒するにあたり、事実関係を調査し、本人から事情を聴
取した上で行う。
ただし、本人が事情聴取に応じないなど特別な場合はこの限りではない。

——————————————————————-

会社によっては、懲戒処分を行おうとする場合に

  懲罰委員会

といったようなものを招集し、そこで協議をしたうえで懲戒処分の内容を
決定すると定めているところもあります。

懲罰委員会などは必ず設けなければならないものではなく、設けるかどう
かは各会社ごとに決定することになります。

ただし、そのような手続きを就業規則等で定めた場合には、決められた手
続を必ず踏まなければなりません。

つまり、

  懲罰委員会を開催し、懲戒処分しようとしている従業員の言い分を
  聞いたうえで、懲戒処分の内容を決定する

と定めているにもかかわらず、
実際には、

  社長の一存で、懲罰委員会もなく、弁明も聞かずに懲戒処分をして
  しまう

というような事は避けるべきだ、ということです。

過去には、当然懲戒処分されるべき事案であったにもかかわらず、決めら
れた手続を踏まなかったばかりに懲戒処分が無効とされた判例もあります
ので、注意が必要です。

           ―― 第43回 懲戒の手続き  おわり ――

◇―――――――――――――――――――――――――――――――◇

     おわりに   ◆どうでもよくない話◆

◇―――――――――――――――――――――――――――――――◇

ここのところ、教員採用試験をめぐる汚職事件のニュースが毎日流れて
います。

不正に教員になった人を調査して、採用を取り消すなどといっていますが、
これは枝葉末節なことで、不正の依頼をした議員や教員など、そしてその
依頼を受けた教育委員会の職員などを突き止めることの方が重要だと思い
ます。

また、不正の当事者が調査をするというのも変な話です。

さらに、不正に校長や教頭になった人も、処分の公平さを考えれば、クビ
になってもしょうがないと思いますが、そこら辺の話ははっきりしません。
(当事者なので当然といえば当然ですが)

これ以上書くと長くなってしまうのでこの辺にしますが、つっこみどころ
満載です。

来週の今ごろはどうなっているのでしょうか?

—–+——-+——-+——-+——-+——-+——-+——-+—–

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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就業規則のネタ 【第42回】 -懲戒解雇事由-

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        就業規則のネタ
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  ◎ 第42回    懲戒解雇事由        2008年7月12日

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こんにちは。社会保険労務士の長谷川です。

3月1日に“労働契約法”という新しい法律が施行され、会社と従業員との
争いが発生した場合、

  就業規則がなければ会社は非常に不利

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前回は、

  “懲戒事由” 

ということで、

  懲戒処分を行うにはあらかじめ就業規則等に懲戒事由を
  明示しておく必要があること

を中心にお伝えいたしました。

今回は、

  “懲戒解雇事由”

についてお伝えしていきます。

※―――――――――――――――――――――――――――――――※

  今回のテーマ   ■ 懲戒解雇事由 ■

※―――――――――――――――――――――――――――――――※

懲戒処分は、前回も触れたとおり、基本的に就業規則(またはそれに準ず
るもの)に定めた事由に該当しないと行うことができません。

特に、懲戒解雇処分の場合は、

  妥当な処分なのか? あるいは重すぎる処分なのか?

ということで、会社と従業員との争いの原因となりやすいという面があり
ます。

そのため、条文を読んだ従業員が、

  どういうことをすれば懲戒解雇となるのか?

ということをある程度予想することができるよう、ひとつひとつの懲戒解
雇事由を十分に検討しつつに記載していくことが必要ではないかと考えま
す。

——————————————————————-

以下、一般的な条文を例示します。

(懲戒解雇事由)
第○○条
従業員が次のいずれかに該当する場合は懲戒解雇とする。ただし、情状に
より諭旨解雇とすることがある。

(1)入社選考時に、重要な経歴を偽り、または詐欺的な方法を用いて雇
   用された場合

(2)無断欠勤が連続7日以上に及んだ場合

(3)与えられた業務に非協力的で協調性に欠け、指導するも社員として
   全く不適切な場合

(4)再三にわたり会社の業務命令に反して就業を拒否した場合

(5)故意に業務を妨害したり、会社の秩序・風紀を著しく乱す行為があ
   り、指導するも是正しなかった場合

(6)職場内またはこれに準ずる場所で、脅迫・傷害その他これに類する
   行為があった場合

(7)社内外を問わず他人の金銭物品を窃盗した場合

(8)会社の許可なく、情報機器及びその媒体(パソコン・カメラ・レコ
   ーダー・フロッピーディスク等)を用いて会社の機密情報を社外に
   持ち出した場合

(9)会社及び取引先の個人情報を社内規程に反して故意に漏洩した場合

(10)故意または重大な過失により、会社の施設、資材、製品、商品、
   機械、器具その他の物品を破損、滅失し、もしくは重大な災害事故
   を発生させ、会社に重大な損害を与えた場合

(11)業務上の機密を社内規程に反して故意に漏洩した場合

(12)会社の名誉を汚し、信用を著しく傷つけた場合

(13)会社や顧客の金品を使い込みや融通し、または業務に関して取引先
   等から金品その他を授受するなど不正行為を行ったとき

(14)酒気帯び運転または飲酒運転を行った場合、あるいは酒気帯び運転
   を容認した場合

(15)悪質なセクシャル・ハラスメントにあたる行為、及び著しく公序良
   俗に反する行為があった場合

(16)重大な過失により会社に多大の損失を与え、かつ上司への報告等の
   後処理も著しく不適切な場合

(17)再三にわたり本規則及び付属規程に違反し、指導するも改悛の兆し
   が見受けられないと判断される場合

(18)前条の懲戒違反行為のうち、その複数に該当する等、特に重責違反
   であると認められる場合

(19)その他前各号に相当する行為があった場合

——————————————————————-

懲戒解雇は懲戒処分のうちで最も重い処分です。

懲戒解雇の場合、

  企業秩序の維持に反する行為をしたことにより解雇された

ということですから、

  単に解雇により収入が絶たれる

ということだけでなく、

  退職金は支払われないか、減額して支払われる

ことも少なくありません。

さらに、

  懲戒解雇されたことがその後の再就職でも悪影響を及ぼす

ことも十分考えられます。
(他の会社を懲戒解雇された人を雇ってもいいと考える人は少ないでしょう)

そのため、

  企業秩序の維持に反する行為が懲戒解雇に値する場合

であったとしても、本人が深く反省しているなど、場合によっては懲戒
解雇処分とはせず、

  諭旨退職処分
  (自主的に退職するよう勧告し、それに従わない場合には懲戒解雇
   とする)

とすることもあります。

上の条文の例でも、そのような状況を想定しています。

——————————————————————-

ここまで、懲戒解雇に関する条文を見てきましたが、

  就業規則に懲戒解雇事由が記載されていて
   ↓
  その事由に該当すれば
   ↓
  当然に懲戒解雇が有効となる

というわけではありません。この点には注意する必要があります。

懲戒解雇について会社と従業員がトラブルとなり、そのトラブルが公の場
に持ち込まれた場合には、

懲戒解雇となる事由が、

  ・ 客観的に合理的な理由があり
  ・ 社会通念上相当であると認められる

つまり、

  世間一般の感覚で、懲戒解雇をしてもやむをえないほどの
  非違行為である
  (始めから懲戒解雇ありきではなく、軽い処分から検討し、
   結果として懲戒解雇という結論に至っていること)

という場合のみ、会社が行った懲戒解雇処分が正当なものと認められる
ことになります。
なお、この際、適切な手続が行われているかということも考慮されます。

したがって、

  就業規則に懲戒解雇事由を定めていれば、必要に応じて懲戒解雇が
  できる

というわけではなく、

  就業規則に懲戒解雇事由を定めておくのは必要最低限のことであり、
    ↓
  実際に懲戒解雇を行おうとする場合には、
   ・本当に懲戒解雇処分が妥当なのかを個別の案件ごとに検討し
   ・適切な手続を経た上で行う必要がある

ということになりますのでご注意ください。

           ―― 第42回 懲戒解雇事由  おわり ――

◇―――――――――――――――――――――――――――――――◇

     おわりに   ◆どうでも良くはない話◆

◇―――――――――――――――――――――――――――――――◇

最近、“最低賃金法”という法律の改正がありました。

最低賃金の額が変わったわけではありませんが、罰則や、派遣労働者への
適用などが変わりました。

最低賃金については、額の引上げの話もあり、そのような話をすると渋い
顔をされる方が多いのですが、現在のところ、日本の最低賃金は先進国で
最低水準にあるということは知っておいたほうがいいかもしれません。

—–+——-+——-+——-+——-+——-+——-+——-+—–

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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就業規則のネタ 【第41回】 -懲戒事由-

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  ◎ 第41回    懲戒事由          2008年7月4日

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こんにちは。社会保険労務士の長谷川です。

3月1日に“労働契約法”という新しい法律が施行され、会社と従業員との
争いが発生した場合、

  就業規則がなければ会社は非常に不利

なのは当然として、争いの解決のために、

  就業規則の中身がどうか?

について問われることが、よりはっきりしました。

したがって、会社にとって、就業規則が本当に重要なものになります。

そこで当メールマガジンでは、会社で発生する様々な問題に対し、就業
規則でどのように備えればいいのか、その方法をお届けしていきます。

  「就業規則のせいでかえってひどい目にあった!」

  「うちの会社の就業規則は大丈夫だろうか?」

という経営者の方、また総務担当の方、是非お読みください。

——————————————————————-

前回は、

  “懲戒の種類” 

ということで、

  ・ 懲戒処分を行うにはあらかじめ就業規則等に懲戒の種類を
    明示しておく必要があること

  ・ 始末書を取るときの注意

などを中心にお伝えいたしました。

今回は、

  “懲戒事由”

についてお伝えしていきます。

※―――――――――――――――――――――――――――――――※

  今回のテーマ   ■ 懲戒事由 ■

※―――――――――――――――――――――――――――――――※

前々回、前回と、繰り返しお伝えしているのですが、

懲戒処分を行うには、あらかじめ

  懲戒処分の種類

  懲戒処分となる理由

を就業規則等に定めておく必要があるのであって、

  経営者の好き勝手に行える
  (例えば、適当な理由をつけて気に入らない従業員を懲戒解雇して
   しまうなど)

というものではありません。

つまり、会社は従業員に対し、

  どのような行為をしたら

  どのような懲戒処分を受けるのか

ということを就業規則等である程度具体的に明らかにしておき、実際に
懲戒処分を行うような行為をする従業員がいた場合には、

  その就業規則等にのっとって懲戒処分を行う

ことになります。

前回は “懲戒の種類”についてお伝えしましたので、今回は

  “懲戒事由” 

についてお伝えしていきます。

——————————————————————-

今回も、まずはじめに一般的な条文を例示します。

(懲戒事由)
第○○条
従業員が次のいずれかに該当する場合は、けん責、減給、出勤停止、降格
のいずれかの懲戒処分を行う。
ただし、違反行為が軽微であるか、情状酌量の余地があるか、または改悛
の情が明らかである場合は、懲戒を免除し厳重注意にとどめることがある。

(1)職場にふさわしくない服装・化粧・髪型をしていて、会社のイメージ
   を損なう場合

(2)重要な経歴を偽り、その他詐欺を用いて雇用された場合

(3)正当な理由なく遅刻、早退、私用外出を無断で行った場合

(4)正当な理由なく無断欠勤した場合

(5)業務に非協力的で協調性を欠く場合

(6)会社の業務命令に反して就業を拒否した場合

(7)会社が命じた配置転換を拒否した場合

(8)就業時間中許可なく自己の職場を離脱した場合

(9)就業時間中に私的な電話・電子メールをした場合

(10)会社のパソコンを無断で私的に使用した場合

(11)勤務に関係する手続その他の届出を怠りまたは偽った場合

(12)故意または過失により失態があった場合

(13)許可なく会社内で演説・集会・貼紙・印刷物の配布その他これに類
   する行為があった場合

(14)会社の秩序・風紀を著しく乱す行為があった場合

(15)職場内またはこれに準ずる場所で、脅迫、傷害その他これに類する
   行為があった場合

(16)他人の物を窃盗した場合

(17)会社内で宗教の布教活動を行った場合

(18)会社の許可なく社内で何らかの営業活動を行った場合

(19)会社の許可なく、情報機器及びその媒体(パソコン・カメラ・ICレ
   コーダー・フロッピーディスク等)を社内に持ち込んだ場合。
   または持ち出した場合

(20)不正な領収証などにより、経費の水増し請求などをした場合

(21)故意または重大な過失により、会社の施設、資材、製品、商品、機
   械、器具その他の物品を破損、滅失した場合、もしくは重大な災害
   事故を発生させた場合

(22)業務上の機密または個人情報を漏洩した場合

(23)会社の名誉を汚し、信用を傷つけた場合

(24)酒気帯び運転または飲酒運転を行った場合

(25)酒気を帯びて運転することとなる恐れのある者に対して酒類を提供
   し、または飲酒を勧め、あるいは酒気帯び運転を容認した場合

(26)交通事故を起こして、それを直ちに会社に報告しなかった場合

(27)社用車を許可なく私用で使用した場合

(28)自家用車による通勤を会社の許可を得ずに行った場合

(29)セクシャル・ハラスメントにあたる行為、及び著しく公序良俗に反
   する行為があった場合

(30)会社が指示する健康診断を受診しなかった場合

(31)タイムカードの打刻を他人に依頼しもしくは依頼に応じた場合

(32)服務規律の定めのほか、本規則及び会社諸規程に違反した場合

(33)その他前各号に相当する行為があった場合

——————————————————————-

だいぶ長い条文となってしまいましたが、懲戒処分を行う理由となる行為
を並べていくと、最低でもこのくらいにはなってしまいます。

しかし、中身を見てみると、当たり前のことばかりで、普通に会社に勤務
している従業員が、懲戒事由に該当することはありません。

懲戒事由がたくさん並んでいると、

  会社はそんなに従業員を罰したいのか?

  従業員のことを信用していないのではないか?

と考える人もいらっしゃるようですが、そういうことではありません。

多少細かいと思われるようなことでも、懲戒事由として列記しないと、
いざ懲戒処分をしようとした場合に、懲戒事由として記載がないばかりに
懲戒処分ができないということにもなりかねません。

そんなことでは、会社だけでなく、まじめに勤務している従業員にとって
もマイナスになってしまいます。

そのようなことを避けるためにも、細かいことだと思われるような事項
まで懲戒事由として並べているわけです。

——————–

懲戒事由については、懲戒事由は、業種や規模だけでなく、各会社の経営
理念などといったものとも密接にかかわる部分もあります。

そのため、例文で並べた事項をそのまま使うのではなく、各会社で内容を
慎重に検討する必要があるものと思います。

——————————————————————-

実際に懲戒処分を行う場合には、

  懲戒事由と処分の内容が均衡していること

が必要です。

非違行為の内容のわりに厳しい懲戒処分を行った場合には、従業員との
トラブルが発生しやすくなります。

そして、トラブルが公の場に持ち込まれた場合には、会社の行った懲戒処
分が重すぎるとして否定される場合もあります。

そのため、条文に定められているからというだけで機械的に懲戒処分を行
うではなく、慎重な運用がのぞまれます。

次回は、諭旨解雇、懲戒解雇となる事由に関してお伝えいたします。

             ―― 第41回 懲戒事由  おわり ――

◇―――――――――――――――――――――――――――――――◇

     おわりに   ◆どうでもいいお話◆

◇―――――――――――――――――――――――――――――――◇

最近、イタリア フィレンツェの大聖堂に落書きをした日本人が停学に
なったり、高校の監督を解任されたりというニュースがありました。

ところが、そのイタリアでは、日本の厳罰ぶりにかえって驚いているそう
です。

日本では、先日の善光寺の落書きのように大問題になりますが、イタリア
では別にそうでもないようです。

日本とイタリアでは、善悪の感覚というのはこうも違うものかと、私など
は、かえって驚いてしまいました。

—–+——-+——-+——-+——-+——-+——-+——-+—–

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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