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就業規則のネタ 【第75回】 -営業手当について-

 

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        就業規則のネタ
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  ◎ 第75回  営業手当について        2009年5月18日

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こんにちは。社会保険労務士の長谷川です。

日本も含めて世界の多くの国の景気が悪化し、今後もどんどんひどくなっ
ていきそうな雰囲気です。

今後は、派遣社員をはじめとした非正規従業員だけでなく、正社員の労働
条件にも手をつけないと、会社そのものの存続も危ぶまれてくる状況にも
なりかねなくなっています。

そのため、以前にご紹介した

  中小企業緊急雇用安定助成金

などを利用して厳しい状況をしのぐだけでなく

  ・ 賃下げなど、労働条件の不利益変更
  ・ 解雇

なども真剣に考える必要が出てくるものと考えます。

このような厳しい状況のなかで、労働トラブルが発生するということは、
会社の存続にとって致命的なものともなりかねません。

そのため、

  就業規則を整えて社内の決まりを明確にし
    ↓
  そして社内体制をガッチリ固めて

会社と従業員が一丸となって厳しい状況に立ち向かっていかなければなり
ません。

当メールマガジンでは、会社で発生する様々な問題に対し、就業規則で
どのように備えていけばいいのか、その方法をお届けしていきます。

  「厳しい状況を何とか乗り越えていきたい!」

という経営者の方、また総務担当の方、是非お読みください。

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前回は、

  “通勤手当について” 

ということで、

  ・ 通勤手当の非課税措置
  ・ 通勤に関するルール化の重要性

などについてお伝えいたしました。

今回は、

  “営業手当”

についてお伝えしていきます。

※―――――――――――――――――――――――――――――――※

  今回のテーマ  ■ 営業手当について ■

※―――――――――――――――――――――――――――――――※

ここのところの経済状況では、営業職の方は毎日大変な思いをすることが
多いのではないでしょうか。

しかし同時に、営業活動なしに仕事を確保することはどんどん難しくなっ
てきているのも事実ではないかと思います。

その営業職ですが、

営業担当者がいる会社では、営業手当を支給している場合がけっこうあり
ます。

この営業手当をどのような目的で支給しているのか、ということを聞いて
みると、

  営業は、身だしなみにも気を使わなければならないし、靴も磨り減る
  から

というようなこともあるかもしれませんが、

  営業担当者には残業代を出していない(割増賃金を支払っていない)
  ので、その補償のようなものだ

という答えが返ってくることが多いです。

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  営業担当者には残業代を出していない

という会社は昔からたくさんあります。

営業担当者には残業代を出さないというのは法律上おかしい、というのは、
多くの人が思うことかもしれません。

しかし、営業担当者には残業代を出さない ということに根拠が全くない
というわけではありません。

労働基準法には、営業職など、会社の外に出て仕事をする人に対する労働
時間の算定に関する規定があります。
(以下の条文をご覧下さい)

(労働基準法第38条の2)
労働者が労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合
において、労働時間を算定し難いときは、所定労働時間労働したものとみ
なす。
ただし、当該業務を遂行するためには通常所定労働時間を超えて労働する
ことが必要となる場合においては、当該業務に関しては、厚生労働省令で
定めるところにより、当該業務の遂行に通常必要とされる時間労働したも
のとみなす。
2 (略)
3 (略)

事業場外のみなし労働時間(労働基準法第38条の2の規定)は、ごく簡単に
言うと、

  労働時間の全部または一部について事業場外で労働した場合で、
  労働時間を算定しがたいときは、
    ↓
  所定労働時間労働したものとみなす
  ⇒つまり、割増賃金を支払う必要がない

というものです。
(実際には、所定労働時間を越える労働時間を設定することも可能ですが、
 その場合は割増賃金を支払う必要があります)

ということで、営業職に事業場外のみなし労働時間が適用されれば、通常
割増賃金の支払いの必要がないため、

  営業担当者には残業代を出していない(割増賃金を支払っていない)
  ので、その補償のようなものだ

という理屈が通用することになります。

-------------------------------

しかし、この事業場外のみなし労働時間が適用されるには、

  労働時間を算定しがたい

という条件が必要です。

会社の外で仕事をするということは、その仕事ぶりを直接確認できるわけ
ではありません。

しかし、

 ・ 携帯電話で社内の人と適宜連絡を取り合いながら仕事をする
 ・ 上司などが立てた計画に沿って営業活動をする

などというような場合には、労働時間を算定しがたいとはいえませんので、
事業場外のみなし労働時間の制度は認められないことになります。

労働条件を算定しがたいかどうかについては、会社が判断するのではなく、
労働基準監督署が判断するものです。

ただし、会社が考えている以上に厳密に判断されますので、会社で勝手に

  「うちの会社は事業場外のみなし労働時間でやっている」

と判断するのは危険ですのでご注意ください。

特に、従業員(あるいは元従業員)からの、

  サービス残業をさせられたので割増賃金を支払ってほしい

という訴えが労働基準監督署に寄せられた場合、よほどしっかりとこの制
度を運用しておかないと

  営業担当者には残業代を出していない(割増賃金を支払っていない)
  ので、その補償のようなものだ

という会社の言い分が認められない可能性が出てきます。

そうなると、会社は、

  割増賃金の支払いに応じざるを得ないだけでなく、
    ↓
  割増賃金の代わりと思って支給していた営業手当も、
    ↓
  実際には割増賃金を計算する際の基礎に含めなければならない
  こととなり、
    ↓
  会社の想定以上に割増賃金の時間当たりの単価も高くなってしまう

ので、会社にとってはダブルパンチとなってしまいます。

-------------------------------

それでも、

  時間外手当を込みで営業手当を支給したい

という場合には、

  営業手当には○○時間分の時間外手当を含む

ということを賃金規程(就業規則)に明記し、従業員に周知していれば、
法律的には可能です。

ただし、これを合法的に行うには2つのハードルがあります。

まず、

(1)実際に支払うべき時間外手当が営業手当に含まれる時間外手当の額
  を超える場合は、超えた分は当然支払わなければなりません。

例えば、

  営業手当には20時間分の時間外手当を含む場合で、
   ↓
  実際には30時間の時間外労働をした時には、
   ↓
  不足分の10時間分の時間外手当は別途支払わなければならない

ということになります。

→つまり、何時間残業したか、残業代はいくらになるのかという計算は当
 然しなければならないことになり、給料計算事務の簡略化にもなりませ
 ん。

(2)実際に支払うべき時間外手当が営業手当に含まれる時間外手当の額
  より少なくても、営業手当は満額支払わなければなりません。

例えば、

 営業手当には20時間分の時間外手当を含む場合で、
   ↓
 実際には15時間しか時間外労働をしていない時でも、
   ↓
 残りの5時間分を含めて営業手当を支払わなければならない
 (5時間分は実際に残業していないのに支払う)

ということになります。

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以下、割増賃金を含めて営業手当を支払う場合の一般的な条文を例示しま
す。

(営業手当)
第○○条
営業手当は、営業職に従事する従業員に対し支給する。
2. 前項の手当は、一賃金支払期において○○時間分の時間外労働があっ
  たものとして支給する。
  ただし、実際の時間外労働時間が○○時間未満であっても支給するも
  のとする。
  また、実際の時間外労働時間が○○時間を超えた場合は、超過分を別
  途時間外割増賃金として支給する。

-------------------------------------------------------------------

営業手当については、

  支給をするのかしないのか
  支給するのであればその目的は何か

ということをよくよく考えた上で、基本給、他の手当、賞与などと合わせ
て見直しても良いのではないかと思います。

なお、営業手当ばかりでなく、割増賃金の替わりとして支払ってきた手当
(業務手当などという名称でやっている会社もあるようです)についても
同じことがいえますので、気になる部分がある方は見直しをご検討くださ
い。

また、労働基準法第38条の2の事業場外のみなし労働時間という制度につい
ては、難しい解釈上の問題がいろいろとありますので、素人判断は避けた
ほうが無難です。

         ―― 第75回 営業手当について  おわり ――

◇―――――――――――――――――――――――――――――――◇

    おわりに   ◆どうでもよくないお話◆

◇―――――――――――――――――――――――――――――――◇

前回もここで少し触れましたが、新型(豚)インフルエンザが日本国内に
も本格的に広がってきました。

職場内での感染を予防する措置を本格的にとる必要に迫られてきてきてい
ます。

また、多くの従業員が会社に出てこられない場合などの対応についても
現実のものとして考えておく必要があるものと思います。

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今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

当メールマガジンの内容、その他就業規則や労務管理などについてご質問
がございましたら、ご遠慮なくお尋ねください。

また、ご意見、ご感想などもお待ちしております。
 
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